サウンドアリアレコードのコレクションの中にこのブログのタイトル「払沢の滝凍結」というものがあります。
この録音のエピソードを少し思い出してみたいと思います。
2006年1月12日、朝にレストランチェーン店の売上伝票などの集配するアルバイト。その移動中の車内で聴いていたFM(J-Wave ジョンカビラの「グーッドモーニングTokyo」みたいな番組だったと思います)で、「今日、檜原村の払沢の滝が22年ぶりに全面凍結しました!」というレポーターの声が飛び込んできました。
檜原村や奥多摩へはその前からちょくちょく足を運んで、川の音、水の音に魅了されていたのですが、「滝の凍結」にはこれまで出合ったことがなかったのです。。
「これは行かなければ!」ということで、アルバイト終了後にすぐに準備に取り掛かり払沢の滝へ向かいます。
山の中や川の録音をするときは、動物の気配(人を含めて)を入れたくないときは夜中にずっとレコーダーをまわす感じにするので、まずは明るいうちにその場所をよく確認して(ロケーションハンティング)暗くなっても危なくないように。それでも真っ暗になると昼間とは全く違う世界が広がるので、それはそれでまたその威厳さに心を奪われることになるのですが。。
凍結した滝との対面。
これまでの姿とは全く違う、そしてこれまで轟轟(ごうごう)と包んでいた音が静寂としてその場所を包んでいるという印象でした。
それでも冷静に耳を傾けると、いつもの轟音は消えていても表面の氷の奥には確かに水は流れている。滝のささやきのように聴こえてきました。
そしてこの緊張感はいったい何なのだろうか。
あのいつもの勢いのパワーがそのまま固まってその威厳さのまま迫ってくるような、特別な情感を覚えます。
「溶けてしまう前に録音しよう!」
ということで、一度一番近くのコンビニまで(車で15分くらい)戻り、腹ごしらえと乾電池の予備をそろえて、再び滝のもとへ。。
そんな珍しい状態でも、意外と現地には人が少なく、私としては助かりました。
夜中に一度だけ地元の高校生らしき男子たちが凍った滝の周りに遊びに来たきり、その夜中は誰も訪れませんでした。
あれから15年がたちますが、あの情景は本当に昨日のことのようにはっきりと残っているのは、「録音した」という行為にも助けられているのかもしれません。
あの情感を誰かと共有したい。
その気持ちも、今も変わることがありません。
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